この記事のポイント
  • キーワードは“翻訳”しない。現地の人が実際に使う言葉を、現地のデータで調べる
  • 競合は日本の同業他社ではなく、現地の専門サイトやメディア
  • hreflang、表示速度、構造化データなど技術面は、多言語サイトでは特に重要
  • 立ち上がりは広告で需要を確かめ、SEOで資産として育てる組み合わせが効率的

海外SEOとは

海外SEOとは、海外の検索エンジンで自社のサイトやページが見つけられるように最適化することです。英国・欧州・米国では検索の大半をGoogleが占めているため、基本的な考え方は日本と同じです。

ただし、実際に取り組むと、日本のSEOの成功体験がそのまま通用しない場面がたくさんあります。その違いを理解することが、海外SEOの第一歩です。

日本のSEOと何が違うのか

日本英国・欧米
競合国内の同業他社、比較サイト現地の専門企業、業界メディア、大手の小売・マーケットプレイス、Reddit などのコミュニティ
キーワード日本語の検索語国ごと・言語ごとに違う。同じ英語でも英国と米国で語彙が違う
信頼の評価日本語圏での被リンク・言及現地の業界団体、メディア、取引先からの被リンク・言及
検索結果の姿日本語の情報サイトが多いAIによる要約、動画、地図、ショッピング、フォーラムの表示が多い

とくに大きいのは、日本語圏で積み上げた評価(被リンクや知名度)が、英語圏ではほぼゼロからだという点です。日本で有名な会社でも、英語圏の検索エンジンから見れば「新しく来た、よく知らない会社」です。

キーワードは「翻訳」しない

海外SEOでいちばん多い失敗は、日本語のキーワードを英訳して対策してしまうことです。

  • 日本語の「和包丁」→ 直訳は “Japanese-style kitchen knife”。しかし実際の英語圏の検索は、“Japanese knife”、“gyuto”、“santoku”のように、具体的な種類名で行われることが多い。
  • 日本語の「展示会ブース 施工」→ 英国では “exhibition stand design”、米国では “trade show booth” と、国によって言い方が違う。

キーワード調査は、必ず対象国のデータベースで行います。Semrush、Ahrefs、Google キーワードプランナーなどのツールで、国を指定して検索数を確認し、さらに実際の検索結果を見て、どんなページが上位にいるか(商品ページか、比較記事か、動画か)を確かめます。

海外SEOの基本施策

1. 技術面:多言語サイトの土台

  • 言語ごとにURLを分ける(例:/en/)
  • hreflangで言語版の対応関係を伝える
  • 欧米からの表示速度(CDNの利用、画像の軽量化)
  • 構造化データ(会社情報、製品、FAQ、記事)
  • 英語ページの中に日本語が残っていないか(画像内の文字、PDF、メタ情報)

2. コンテンツ:検索意図に答える

現地の人が「何を知りたくて」その言葉を検索しているのかを考え、それに正面から答えるページを作ります。製品ページだけでなく、用途の解説、比較、使い方、よくある質問など、購入前の疑問に答えるコンテンツが評価されます。日本企業ならではの、職人の技術や素材の背景は、英語圏では独自性の高い情報として強みになります。

3. 信頼:現地での言及と被リンク

英語圏での評価を上げるには、現地のメディア、業界団体、取引先、展示会の出展者ページなどからの言及やリンクが効果的です。展示会への出展やPR活動は、SEOの面でも大きな意味を持ちます。

4. AI検索への対応

欧米では、検索結果の上部にAIの要約が表示されたり、AIチャットで情報収集する人が増えたりしています。AIに引用されやすいのは、明確な事実、具体的な数字、分かりやすい構成、信頼できる出典を持つページです。つまり、基本に忠実な良いコンテンツが、そのままAI時代の対策にもなります。

海外広告との組み合わせ方

海外SEOは効果が出るまでに時間がかかります。そこでおすすめしているのが、広告で需要を確かめ、SEOで資産にするという組み合わせです。

広告向いている目的
Google 検索広告すでに需要のあるキーワードで、すぐに問い合わせや販売を得たい
Meta(Instagram・Facebook)広告消費者向け商品の認知と購入。ビジュアルで伝わる商材
LinkedIn 広告BtoB。業界・職種・企業規模で狙いたい
TikTok・YouTube 広告若い層への認知、動画で魅力が伝わる商材

広告で「どのキーワードで、どのメッセージが反応されるか」が分かれば、それはそのままSEOのコンテンツ設計に使えます。逆に、SEOで評価されたページを広告のランディングページに使うと、広告の成果も上がります。

海外SEOは“現地の目”で完成する

私はこれまで、グローバル製薬企業のSEOとソーシャルリスニングに5年間携わってきました。規制の厳しい領域で学んだのは、検索データは、現地の人の本音がいちばん正直に出る場所だということです。

英語サイトの検索語の調査、コンテンツの企画と英文作成、欧州からの見え方のチェック、広告の運用まで、ロンドンからお手伝いしています。

よくあるご質問

海外SEOは、どれくらいで効果が出ますか?

新しい英語サイトの場合、検索結果で安定して評価されるまでに半年〜1年程度かかるのが一般的です。立ち上がりの時期は、検索広告やSNSで需要と反応を確かめながら、コンテンツを積み上げていくことをおすすめします。

日本語の記事を英訳して公開すれば、海外SEOになりますか?

訳しただけでは、現地の検索語とずれていることが多く、評価されにくい傾向があります。現地で実際に検索されている言葉を調べ、その検索意図に合わせて構成から作り直すことが必要です。

欧州では、英語以外の言語でも対策が必要ですか?

ドイツ、フランス、イタリア、スペインなどでは、現地語で検索されるのが基本です。英語で情報収集するBtoBの担当者もいますが、消費者向けや地域に根ざしたビジネスでは、主要市場の言語での対応が効果的です。

Japan Business Insider英国在住30年、英日バイリンガルのプロジェクトマネージャー/デジタルマーケター。ロンドンを拠点に、日本企業の欧州展示会・市場調査・ファッションウィーク運営・デジタルマーケティングを、現地の窓口として支援しています。