この記事のポイント
  • CEマークは「EUの安全基準を満たしている」ことをメーカー自身が宣言する表示
  • 対象は電気製品・玩具・機械・無線機器など指定された製品群。食品や一般雑貨は対象外だが、別の安全ルールがある
  • 英国ではUKCAマークが原則だが、多くの製品でCEマークの受け入れが続いている
  • EU域内に拠点のないメーカーは、輸入者や代理人など「EU内の責任者」を決めることが必須

CEマークとは:安全基準を満たしている、というメーカーの宣言

CEマークは、製品がEUの安全・健康・環境保護の要求事項を満たしていることを示す表示です。EU(とEEA加盟国)で指定された製品群を販売するには、このマークがないと市場に出すことができません。

誤解されやすいのですが、CEマークは「品質が良い」という認証ではありません。また、多くの製品ではどこかの機関からもらうものでもありません。メーカー自身が、該当するEU法令と規格に適合していることを確認し、その責任を負うという「宣言」です。

主な対象製品

  • 電気・電子機器(低電圧指令、EMC指令、RoHS指令)
  • 無線機器(Bluetooth・Wi-Fi搭載製品など/無線機器指令)
  • 玩具(玩具安全指令)
  • 機械類
  • 個人用保護具(ヘルメット、手袋、一部のサングラスなど)
  • 医療機器、体外診断用医療機器
  • 建設製品、圧力機器、ガス機器 など

日本の中小メーカーから相談が多いのは、家電・調理家電、Bluetoothを使ったガジェット、子ども向け製品です。「ちょっとした電子部品が入っている」だけで対象になることがあるので、まず自社製品がどの法令に該当するかの特定から始めます。

CEマーク表示までの流れ

  1. 適用される法令(指令・規則)を特定するひとつの製品に複数の法令がかかるのは普通です。たとえばBluetoothスピーカーなら、無線機器指令とRoHS指令が関係します。
  2. 整合規格を確認し、適合性を評価する法令ごとに、適合を示すための欧州規格(EN規格)があります。試験が必要な項目は、試験機関で測定します。
  3. 第三者認証が必要かを判断するリスクの低い製品は自己宣言で足りますが、医療機器などはノーティファイドボディ(EUが指定する認証機関)の審査が必須です。
  4. 技術文書(テクニカルファイル)を作成する設計図、部品表、試験報告書、リスク評価などをまとめたもので、当局から求められたら提出できるよう、一般に市場投入から10年間保管します。
  5. EU適合宣言書(DoC)に署名し、CEマークを表示するマークは製品本体(難しければ包装や添付文書)に、決められた比率と大きさで表示します。

日本のメーカーがつまずきやすい3つのこと

1. 「EU内の責任者」がいない

EUでは、多くの製品についてEU域内に拠点を持つ事業者(輸入者、授権代理人、フルフィルメント事業者など)が、当局の窓口として責任を負うことが求められます。日本から直接越境ECで売る場合、この役割を誰が担うのかが空白になりがちです。

2. 取扱説明書と表示の言語

安全に関わる注意書きや取扱説明書は、販売する国の言語で用意する必要があります。英語だけで欧州全域をカバーできるわけではありません。ドイツで売るならドイツ語、フランスならフランス語です。

3. 代理店まかせにしてしまう

現地の代理店や輸入者が手続きをしてくれることもありますが、技術文書の中身を用意できるのはメーカーだけです。「全部やってもらえると思っていた」というすれ違いは、商談の終盤で起きると致命的です。契約前に、誰が何を用意するかを文書で決めておきましょう。

英国のUKCAマークはどうなっているか

英国はEU離脱後、独自の適合表示としてUKCA(UK Conformity Assessed)マークを導入しました。当初はCEマークからの切り替えが義務になる予定でしたが、企業の負担を理由に延期が重ねられ、2023年8月には、英国政府が多くの製品分野でCEマークの受け入れを期限を定めずに継続すると発表しています。

販売先必要な表示ポイント
EU・EEACEマークEU域内の責任者が必要
グレートブリテン
(イングランド・スコットランド・ウェールズ)
UKCAマーク または CEマーク(多くの分野)医療機器・建設製品などは分野ごとのルールを確認。英国内の輸入者情報の表示が必要
北アイルランドCEマーク(場合によりUKNIマークを併記)EUの製品ルールが引き続き適用される

実務的には、まずCEマークを取得し、EUと英国の両方に出すのが、いまのところ最も効率のよい道筋です。ただし、英国の制度は見直しが続いているため、出荷前には必ずGOV.UKの最新ガイダンスを確認してください。

CEマーク対象外でも安心できない:GPSR(一般製品安全規則)

EUでは2024年12月13日から、一般製品安全規則(GPSR)が適用されています。これは、CEマークの対象にならない一般消費財——食器、雑貨、アパレル小物、文具、インテリア用品など——にも、安全性についての具体的な義務を課すものです。

  • 製品のリスク評価と技術文書の作成
  • EU域内の責任者の名称・連絡先を製品や包装に表示
  • 型番やロット番号など、製品を特定できる情報の表示
  • オンライン販売ページにも、メーカー情報、責任者情報、警告・安全情報を掲載

大手マーケットプレイスでも、GPSRに必要な情報が登録されていない商品は、EU向けの出品が制限される運用になっています。「うちはCEマークと関係ない商品だから」という判断は、いまは通用しません。

進め方のおすすめ

規制対応は、商品開発やマーケティングと切り離して後回しにされがちです。でも実際には、どの市場に、どの商品から出すかという判断そのものに影響します。対応コストが重い商品は後回しにし、まずは規制のハードルが低い商品で市場の反応を見る、という順番も立派な戦略です。

私のところでは、試験機関や認証の専門家とのやりとりの通訳・進行、現地輸入者との役割分担の整理、英語の表示・説明書のチェックなどをお手伝いしています。

ご注意

この記事は一般的な整理です。製品ごとの適用法令や手続きは、試験機関・認証機関などの専門家にご確認ください。

よくあるご質問

CEマークは、どこかの機関に申請して取得するものですか?

多くの製品は、メーカー自身が規格への適合を確認し、技術文書と適合宣言書を作成して表示する「自己宣言」です。ただし医療機器や一部の機械・保護具など、リスクの高い製品は第三者の認証機関(ノーティファイドボディ)の審査が必要です。

英国で売る場合、UKCAマークに付け替える必要がありますか?

英国政府は、多くの製品分野でCEマークの受け入れを期限を定めずに継続すると発表しています。EU向けにCEマークを取得していれば、英国(グレートブリテン)でもそのまま販売できるケースが多くあります。ただし医療機器や建設製品などは個別のルールがあるため、分野ごとの確認が必要です。

雑貨や食器などCEマークの対象外の製品なら、何もしなくていいですか?

いいえ。EUでは2024年12月から一般製品安全規則(GPSR)が適用され、CEマーク対象外の一般消費財にも、安全性評価、EU域内の責任者の表示、製品の識別情報などが求められます。オンライン販売も対象です。

Japan Business Insider英国在住30年、英日バイリンガルのプロジェクトマネージャー/デジタルマーケター。ロンドンを拠点に、日本企業の欧州展示会・市場調査・ファッションウィーク運営・デジタルマーケティングを、現地の窓口として支援しています。